2025年国勢調査の速報値が発表になり、日本の総人口が1憶2304万9524人となった。5年前に比べて309万6575人減少、減少率は2.5%だった。
減少幅は過去最大。
国連推計での比較ではエチオピアに抜かれ、世界11位から12位へ後退した。
野村総研の試算では、次回30年の国勢調査時は総人口で1憶1000万人台になるという。
都道府県ベースでは人口が増加したのは東京都と沖縄県の2都県のみ。47都道府県庁の所在地では仙台や福岡を除く40都市で減少した。
人口減少最大の悪影響は生産年齢人口(16~64歳)が減少すること。生産年齢人口は消費や税収の中心となる年齢層だ。
特に、この世代の減少は税収減に直結する。高齢社会では税収減はインフラ・行政サービスの改悪につながる。
下方上図は1990年を100とした日本人口・生産年齢人口の推移だ。
2025年の総人口は初めて1990年を下回った(日本の人口がピークとなったのは2004年)。一方で生産年齢人口のそれは1995年となっている。
生産年齢人口はその後も減り続け、足元の数字では85.38まで落ち込んでいる。
出生率が上昇もしくは合計特殊出生率(1人の女性が一生で産む子供の数の平均値)が2.07(約2.1)を超えていれば余計な心配をする必要はないのだが、厚労省の発表する最新のデータでは同1.14で過去最低となっている。これでは人口増加は到底期待できない。
(*先日、厚労省が公表した都道府県別の合計特殊出生率では13の県で数値が上昇したとのこと。上昇した県は岩手・秋田・香川・宮崎など)
しかし、大勢に変化はなく、上右図のような人口推移を辿っている。上方下図によると2050年には日本の人口は1憶人を割り込む。
執筆中にドル円相場は前回為替介入を行った水準(1ドル=160円半ば)まで円安が進行している。約11兆円を投入したGW前後の政府・財務省による為替介入は水泡に帰したことになる。これで、日本を取り巻くファンダメンタルズが変化しない限り円安の流れは変えられないことが明確になった。人口動向も基礎的ファンダメンタルズの一つになる。人口が増加すれば、生産能力が上昇、消費活動が活発になり長期的な国力の底上げにつながる。逆に人口減少は、税収が落ち込みにつながり、税収不足を補うために国債を乱発することで国の基礎的プライマリーバランスが健全化されず、国力が弱まる。円安が進行する。現在の状況はまさに負のスパイラルと言える。
先週だったと思うが、羽鳥慎一モーニングショーでコメンテーターの玉川氏が野生のクマの出没が増加している地域と人口の減少している地域が符合するとの私見をコメントした。偶然と片付けるのは簡単だが、両地点が符合している事実は見過ごすことはできない。人口減少により行政サービスが細かいところまで行き届かなくなった結果とみることもできそうだ(例えば、鳥獣駆除や空き家対策などクマの行動範囲を広げる可能性のある行政サービスの低下)。
政府は国民の所得増加を公約として政策を進めている。そのための減税を協議しているが、果たしてそれが正解なのだろうか。
減税は上記のように負のスパイラルを増長する。個人的な意見になるが、現在必要なのは減税ではなく社会保障費の減額と考える。健康保険料や年金保険料を下げることで手取り額を増やすことができる。当然、「入り」が減るのだから「出」も減らす必要がある、公的医療費や年金支給額を抑える必要だ(増税に関しては、金融資産を一定額以上(例えば、3億円以上)の保有者には金融資産保有税などを課すなどが考えられる。が、現行の自民党政権下では無理だろう)。
人口減少は将来的な労働力不足に直結する。労働力不足は税収不足と相関だ。経済を支えるには様々な施策(増税や移民政策など)を検討する必要がある。